たびのほん

旅が好き。海外を自由に旅したい。でも現実は旅立てても年に1、2回。そんなたびごころを慰めるため読んでみた本を紹介します。

いつかこんな旅をしてみたい。旅する作者が羨ましすぎる一冊。

 

イギリス南西部 至福のクリームティーの旅 (私のとっておき)

イギリス南西部 至福のクリームティーの旅 (私のとっておき)

 

 

分かる人には、タイトルを見ただけでもう手に取ってしまうような本である。あまりに危険なので、ダイエット中の人には絶対におすすめできない。読んでいるだけで涎が・・・。

 

アフタヌーンティー」はすっかり日本にも受け入れられて、今では数々の名立たるホテルで楽しむことができる。それはイギリスの上流階級からやって来たお茶文化。彼らの生活では夜にオペラや観劇を鑑賞するので、夕食が遅くなる。夕食までの間、小腹を満たすため、午後に軽食やお菓子をつまみながらお茶をする、という文化が育った。

典型的なスタイルでは3段になったティースタンドにサンドウィッチ、スコーン、ケーキなどの菓子がそれぞれ載せられて、紅茶と共に提供される。正直、こんなものを夕食前に食べてしまうと、とてもじゃないが、普通の夕食は食べられない。軽食とは思えない、何とも豪華で優雅な習慣である。日本でもホテルでいただけば数千円。特別な贅沢として、時々、自分に許すことにしている。

 

さて、今回の本のタイトルは「アフタヌーンティー」ではなくて「クリームティー」。クリームティーとは、アフタヌーンティーのカジュアル版になる。マストアイテムはスコーンと紅茶。

そして、スコーンといえば必ず添えられるべきものがある。それがクローテッドクリームとジャム。この二つが付いていなければ、本当のアフタヌーンティー、クリームティーとはいえないと、私は思っている。残念ながら、日本ではホイップクリームやバターが添えられている場合もある。

クローテッドクリームもバターも元を正せば同じもの。牛乳からできている。けれども、全然別物なのだ。簡潔に言うなら脂肪分の違い、ということになる。ホイップクリーム(生クリーム)、クローテッドクリーム、バターの順に高い。でもその違いが重要で、やはりスコーンに一番合うのがクローテッドクリームなのだ。

 

作者はこのクローテッドクリームを愛するあまり、イギリス南西部へ旅に出る。なぜイギリス南西部に決めたのかも本の中で明らかにされている。本書を読めば、これまで「クローテッドクリーム?何それ?」と言っていた人も、スコーンにホイップが添えられてきたら怒りだしてしまうかもしれない。それくらい、クローテッドクリームの魅力があふれ出している。色鮮やかな写真が更に読者の心を奪う。作者は欧菓子研究家ということもあって、最後にはスコーンや焼き菓子のレシピ付き。自宅で、熱々のスコーンにたっぷりのクローテッドクリームをつけて、クリームティーを楽しむだってできるのだ!

ただし、くれぐれも気をつけて。クローテッドクリームの半分以上は脂肪分だということに・・・。自戒も込めて。